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酒井浩之×玉乃淳 “どうしても見てほしい世界”

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 辿り着いた先に

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酒井 超一流が集い極みを目指すというある意味特殊な環境に身を置いて、僕は今後どのように生きていくべきなのか、どのような価値を創造できるのか、考えていました。苦しかった10年間を振り返ったりしながら…やはりこの環境で自分と同じ日本人が活躍する姿を見たいと思いました。自分しかできないこと、それは自分がこの目で見た世界最高のプロフェッショナル集団の裏側を日本の選手に伝え、いつかその選手がこの舞台で日常を過ごすことだと思ったんです。その準備のため、帰国することを決意し、レアル・マドリードを退団しました。もちろん夢舞台に残るという選択肢もありましたけれど…。 

玉乃 …難し過ぎる選択ですね。選手達の側で日々「あの」興奮を味わっていたわけですよね。しかも日本に戻ってまたゼロからのスタートですか…。 

酒井 MBA取得した経験によるものなのかどうなのかわかりませんが、シビアでも自分の価値を活かせて未来を感じられる選択をビジネスマンとしてしたのかもしれません。 

玉乃 なるほど…。で、そうすると、奥さまは一度もマドリードには行かれず…? 

酒井 それがね、一度だけスペインに来てもらったんです。子育てしながら日本での仕事が大変なのもわかっていましたけれど。コツコツ貯めていたお金で渡航費を捻出してね。どうしても僕が見ている世界を一度妻にも見てほしかったんです。家族を犠牲にしてしまってまで夢中になっていた世界の頂点を。
そしたらね、サッカーのサの字も知らない妻が、試合終了間際のセルヒオ・ラモスの決勝ゴールに、娘を抱えながら飛び上がって、サポーター達の歓喜の輪に加わっているわけですよ。  

そのとき、思いました。一緒に夢を見てくれた家族のためにも、絶対に「想い」を実現させるって。


涙腺が緩みました。夢の舞台への挑戦、鳥肌がたつような興奮の日常、幾多の挫折、それを支えた家族の愛情。世界最高峰を経験された酒井氏との対談はさすがのプレゼン能力も手伝って臨場感あふれるものとなりました。張り詰めた日常に身をおき、究極の状態で見つけた次のチャレンジはどのようなものになっていくのでしょうか。さらなる頂に挑戦する氏の夢のつづき、早く見てみたいものです。

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酒井浩之(さかい・ひろゆき)プロフィール

1979年愛知県生まれ神奈川県育ち。両親の影響で、幼少の頃からサッカーとピアノに打ち込む。2003年、日本大学法学部を卒業。日大在学時より青山学院大学体育会サッカー部OBが中心となって運営されている社会人チーム、FC青山(東京都社会人サッカーリーグ所属)に所属し、サイドバックとしてプレー。卒業後は広告代理店やスポーツブランドに勤務し、2015年3月にレアル・マドリード、スポーツマネジメントMBAコースに日本人として初めて合格。その後、同コースから唯一レアル・マドリードに正社員として採用され、2017年退団。現在は、東京とマドリードを往復する日々を送りながら次のキャリアに向けて準備中。