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土屋雅史×玉乃淳 “たった一つの条件”

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「中立」な解説、とは

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玉乃 純粋にストレートに物事を伝えるのって凄く難しいかと思います。特に土屋さんはテレビ業界の中心にいらっしゃるので、スポンサーさんからの見られ方など、全てが土屋さんの意向というわけにはいかないのではないかと想像しております。

土屋 こと、僕が担当しているJリーグ中継で、もし仮にスポンサー関係の目を気にしなければならいような状況だったら…あなたのような解説者は…。ね?

玉乃 え?

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一同 爆笑

玉乃 土屋さん、ひどいです。

土屋 うそうそ(笑)。中継において、とにかくスタッフのメンバーが優秀ですからね。玉乃くんもご存知の通り、一試合の中継を作るのに総勢25人前後のスタッフが関わっているのですが、その中でジェイ・スポーツのメンバーは僕一人で、あとはテレテックという制作会社の方たちで構成されています。カメラマンがいて、中継車の中で指示を出す方、あと、放送席で玉乃くんに「なに言っているんですか?」ってカンペを出す方とか。

玉乃・土屋 はははは。

土屋 僕も何回か差し紙、出したよね、最初の方。「そういうのいらないから」って。

玉乃 本当にそのときは凍りつきました。毎回「遂に終わった」と思いました。僕の場合、常に一試合更新の契約ですし…。

土屋 でも、本気で怒ったのは1回だけだよね? 他の人から見たら、何度も「こいつ何言っているんだ?」ってシーンがあったと思うけど。

一同(玉乃以外) (爆笑)

玉乃 本当にその件は反省しています。若手選手のデビュー試合で、容姿について、不必要に触れてしまった件ですね。いまだに本当に忘れられないです。

土屋 後にも先にもその時だけだよね、僕から注文を出させてもらったのは。

玉乃 はい。今でもその時のことを反省しています。時に本気で怒ってくれたり、アドバイスをいただいたり。なんというか、選手を引退して、社会人としての初めての先輩が土屋さんだったので・・・土屋さんには感謝しきれないです。

土屋 でも、なんで僕が玉乃くんに仕事をお願いしているか知ってる?
「なんだ、あの解説!」っていう意見もあるのは承知しているんですけど、この対談が決まったときに、このことを伝えたいなって思って、今日ここに来たんです。

dscf7525最初はね…僕は31歳でJリーグ中継のプロデューサーになったんですけど…それまで視聴者側で試合を見ていて、思う所はいくつかあったのですが、いざ自分が制作の責任を負う立場に立った時に思ったんです。「あれ?中継の内容自体に手を加えることは何一つないな。」って。先ほども言いましたけど、制作チームのテレテックさんはすでに日本一の制作チームだったんです。とにかくクオリティもモチベーションも高くて100パーセント信頼できる方達だとすぐに分かりました。そこで、何を加えたらより良い中継になるかなと考えて、自分が当時若くしてこのポジションに抜擢してもらったということもあり、今度は逆に自分が若い解説者を発掘して、新しいサッカーの見方を世の中に伝えることができたらなって思ったんです。

玉乃 …なんかドキドキしてきました。起用する側とされる側の前代未聞の対談となっていることに今更ながら気付きました。なんか怖いです(笑)。

土屋 それでね、若くして引退して、いきなりカナダに留学して外国人の友達をたくさん作ってとか、バイタリティがあるなとは思って見ていたんです。当然現役時代の玉乃淳も知っていたわけで。高校からスペインに行っていて。26歳という異常な若さではありましたけれど、何か新しいことが生まれるんじゃないかなって思ったんですね。本当に未知数の塊ではありましたけど。

玉乃 お話をいただいたときには本当に驚きました。実績もない、イケメンでもない僕が…嘘でしょって。

土屋 未知数過ぎたけど、一つ確信していたのは、玉乃くんが「サッカーが本当に好きであること」だったのね。これは仕事を一緒にさせていただく上で僕の唯一にして最大の条件なんです。だから玉乃くんが「サッカーが大好き」である以上、どう転んでもいいやって、思い切って抜擢してみたんです。

玉乃 まさか今日こんな話になるとは夢にも思ってもいませんでした。恥ずかしさと怖さが入り乱れています。

土屋 まあ、玉乃論を語れる人は僕しかいないんだからいいじゃない。だって他の局のどのプロデューサーもこれまで怖くて誰も使ってこなかったんだから。

一同 (爆笑)

土屋 玉乃くんが今のような注目のされ方をするとは思ってもいませんでした。今でこそ、少しずつ評価されてきて、なにか独特の感性だとか、面白い!とか世間から思われ始めているようですけど、面白いとかは僕にとってはどうでもいい部分なんです。確かに僕も中継していて、笑っちゃうこともありますよ、「こいつバカだなぁ」って。

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一同 爆笑

土屋 でもね、玉乃くんが「解説者として、この部分は日本で一番かな。」と思うところもあるわけです。

玉乃 …。

土屋 僕は玉乃くんが日本で一番「中立」な解説者だと思っているんです。

僕が考える「中立」というのは、目の前にあるゲームの熱とか、そのゲームの意味などを見たまま感じて、そして伝えることだと思っています。目の前にあるゲームとどれだけシンクロできるかが重要だと思っていて、そういう意味ではピッチで起こったことに対する反応の速さや熱量は、玉乃くんは凄いんですよ。だから聞く方によっては、片方に肩入れしているように聞こえることもあるし、肩入れされていないと思われる方も当然出てくるとも思うので、厳しいクレームが来ることもあると、覚悟していました。ただおそらくスタジアムで実際見ている人は玉乃くんと同じような感覚で見ているはずなんですよ。スタジアムの空気を的確に画面に伝えるという意味では日本一の解説者と言って、間違いないと思います。ちょっぴりおバカだけれど(笑)

玉乃 最後(笑)…せっかく嬉しくて泣きそうな話でしたのに。

土屋 「マツコ&有吉の怒り新党」で第二の松木安太郎さんって言われていたけれど、松木さんと玉乃くんの決定的な差は、松木さんはたぶんすごく頭が良くて、確信犯的な部分もあるはずだけど。玉乃くんは…、ねぇ。

玉乃 …あのですね、僕の話はもう置いておきませんか?(笑)