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西川圭史×たまじゅん部 “金沢を導く人を育てたい”

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「やはり打たれ強い人がいい」

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京極 イベントといえば、コンセプトあるイベントづくりに力を入れられていると伺いました。今年のイベントはどういった内容なのでしょうか?  

西川 古都金沢なので、「和」をイメージしたプロモーションを施しております。ポスターのデザインから試合会場の飲食ブースにいたるまで、そこで流れるBGMも含めて、「和」でイメージ統一しています。まぁ、イベントを催せば必ずしも観客動員が増えるというわけではないのですが、最近はターゲットを絞って個人情報を収取し、次の来場につなげることができるように心がけています。例えば100人単位という少ない規模でもユニークユーザー、コアファンを増やすようなイベントの仕掛けをおこなっています。  

京極 なるほど「和」ですか…2020年の東京オリンピックも控えていますし、近時よく言われる「インバウンド需要」という側面でも、やはりチームとしてグローバルな取り組みはされているのでしょうか?  

西川 いやぁ、正直、いまの段階では、なかなか手が回らないですよね。ですが、これは少しずつでもやっていかないと、取り残されてしまうという危機感もあります。特に東南アジアなどでは、Jリーグのブランド力もありますから、クラブの中長期のビジョンにおりこんで、踏み込んでいきたいとは思っています。石川県と結びつきの強い台湾は、プロサッカーリーグが存在しないところが逆におもしろいと思いますね 

栗田 そうなると、求められるのは、英語や現地語を話せる人材ですか?  

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西川 決して〝MUST”ではないですね。言葉だけできる人よりはむしろ地元に詳しい人材や、柔軟な発想や企画力・行動力をもった人材が必要だと思っています。考えて行動できる人や、肉体的にも精神的にもタフである人、打たれ強い人も求められていますね。サッカービジネスですから、一見なんとなく楽しそうな雰囲気もあって、華やかな仕事だと思って門戸をたたく人も少なくないですが、結局日頃の仕事の大変さに耐えられなくてやめていってしまうケースが多いのです。そういった意味では、やはり打たれ強い人がいいですよね。  

グローバルな視点ももちろん大切なのですが、いまは自分たちの規模感を認識しながら、地域に夢や感動、そして少しでもインパクトを与えられればと考えています。観光都市である金沢としてアウェイからいかに集客できるか…これが重要ですし、自分たちができることですよね。この前の松本山雅とのゲームの前には、スタッフとマスコットが松本のテレビに出演したり、スタジアムにお邪魔したりしてPRしました。松本の一部のサポーターの方からは必死すぎるとも言われましたが(笑)。でも、ある意味それも重要な仕事ですから。日曜日の19時キックオフだったので、長野県から日帰りできないがゆえに、サポーターが来づらかったのですが、結果として2,000人近い松本サポーターがご来場してくれました。その日は、県内のホテルや温泉に宿泊するという方もおおくいらっしゃり、地域にも貢献できたかなと思います。もっと日程がよければ、もっと大きなインパクトを残せたかなと思うので、日程的なものについても働きかけていきたいです。 

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いずれにしても私の大きな仕事のひとつは、チームを強くすることですよ。強くても弱くてもチームを応援してくれる方々を増やすことがベースですが、チームが強くなることでスタジアムに足を運んでくださるお客様層の開拓も不可欠です。現在無関心層である学生の目も向いてくるかなと思います。…そういえば、石川県って、学生の多い県で、人口に対する学生の割合が日本でも有数に高い県なのです。これってスゴイ財産ですよね。多くの地方都市は若者を呼び込むのに苦労していますから…ですから県外から入学した学生が卒業してまた県外に戻るのではなく、県内に残ってもらえることに一役買えるツエーゲンでありたいです。つまりね、強いチームづくりが、ひいては地域創生にも寄与できるわけです。それに、チームを強くするために黒字か赤字かぎりぎりのところで勝負することが許されるのがこの世界なのかなとも思います。東大、ゴールドマンサックス経由のファジアーノ木村社長(編集部注:木村正明氏。ファジアーノ岡山の代表取締役をつとめる。就任から3年で地域リーグに所属していたチームをJリーグに加盟させ黒字化にみ導いた辣腕経営者。)も「大きな黒字は褒められたものでない。」と仰っています。しっかり稼いでそれを選手獲得に再投資するという意味でね。勝てるチームをつくらないと始まらないということでしょう。クラブライセンスという制度(編集部注:2013年から導入された制度で、ここでは3期連続の純損失(赤字)を認めない財務要件を指す。)もありますし、ウチの株主は当然のことながら赤字経営に対して寛容ではないので、収支はもちろん大切です。大切なのですが、利益の最大化だけが目標ではないのです。私の通信簿は…J1や世界の舞台…少しでも高いステイタスで金沢を輝かせることで、良い点数がつけられるのだと思います。勝てるチームをつくることによって地域から必要とされる存在になることも大切なのではないでしょうか。