TAMAJUN Journal

夏野剛×玉乃淳 “腐らない人にはいくらでも光が当たる”

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5月からスタートしました、「TAMAJUN Journal」。
実はこのサイトの運営組織は慶應義塾湘南藤沢キャンパス(以下「慶応SFC」)の学生たちを中心に構成されています。記事の構成や動画編集、事前リサーチに取材時の写真撮影も含めて、彼らが手伝ってくれています。webメディアに必要な色々なスキルが備わっている彼らなのですが、そんな彼らが教えを請い、愛して止まない一人の教授がいらっしゃいます。その授業は立ち見がでるほど!!
そんな彼らSFC生に大人気のカリスマ教授が今回のスペシャルゲストです。

夏野剛氏。
もはや知らない人はいないのではないでしょうか。
多くのテレビ番組にコメンテーターとして登場し、いろいろなメディアを通じて歯に衣着せぬ発言をすることでも若い世代から支持を集めていらっしゃいます。NTTドコモで「iモード」や「おサイフケータイ」の開発に携わったことはあまりに有名ですが、現在では、株式会社ドワンゴの取締役をつとめる以外に、複数の企業から社外取締役として招聘され、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で特別招聘教授もつとめられています。
昨年にはJリーグアドバイザーにも就任し、サッカー界にも一石投じる夏野氏。日本サッカー界の課題から、本サイトのテーマであるプロ選手のキャリアについてまで、真正面から語っていただきました。独特の語り口と豊富なアイディア、そして先日話題になったJリーグの新放映権契約に関するお話も?

どうぞお楽しみください。

 日本サッカーのポテンシャルを引き出す

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玉乃 はじめまして、夏野さん。よろしくお願いいたします。1年前にJリーグアドバイザーに就任されたニュースを見て以来、すごくお会いしたかったです。

夏野 ありがとうございます。今日はなんでも聞いて下さい。

玉乃 Jリーグアドバイザーという肩書で、具体的にはどんな活動をされているのですか?夏野さんといえば経済界の人であり慶應SFCの教授、サッカーとは完全に畑違いの方、というイメージです。そんな方がなぜJリーグアドバイザーに?という思いでいました。

img_2243-%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc夏野 今回5人がアドバイザーに指名されました。ホリエモンとか、企業再生のプロの冨山さんとか、統計学のプロとかね。いわゆるサッカー界の外のヒトが選ばれています。これはサッカー自体をもっと広義にビジネスとして捉えたりするためだと思うのです。例えば、日本全体という大きな枠組みや広い視野でJリーグを見たり、どうあるべきかを議論したり。そういうことをしたいっていうのが、村井チェアマンの思惑なんですよね。
僕はね、そのような視点がサッカー界に欠けていたなって思います。やっぱり今までの日本サッカー界っていうのは、サッカーをやってきた人、サッカー経験者のためのコミュニティみたいになっていた。でもサッカー経験者というのは日本の人口からいうと数パーセントにすぎないですよ。その数パーセントで無理矢理サッカーコミュニティを作っていると。

img_2150一方で、イングランドとかドイツ、スペイン、イタリアなどヨーロッパの国そして南米の国を見ると、国民の半分ぐらいでこのコミュニティが作られているわけです。コミュニティが小さいということは、選手のその後のキャリアがあまり保証されることもないから選手たち当事者にとっても優しくないし、なによりサッカーそのものの面白さも半減させてしまう。より多くの人と盛り上がれた方がサッカーを見る楽しさも増しますよね。  つまり、サッカーの本来持っている魅力が、小さなコミュニティでは100パーセント出しきれないんです。でも、そんな小さなコミュニティの日本サッカー界も、日本代表に目を向ければどんどん強くなって、ワールドカップに出場するのは当たり前、世界ランキングは50位前後までなりましたし、国民の関心は、一昔前に比べれば非常に大きくなったとは思っています。その日本代表に対する関心の高さをJリーグにもちゃんと反映しなければいけないな、というのが僕の問題意識です。

玉乃 欧州や南米なみにサッカーコミュニティを形成するポテンシャルが日本にもあるということですか?

夏野 そうです、ポテンシャルはあります。いまの日本のサッカーコミュニティは2つに分かれていると思っていて、僕が小さなコミュニティと言ったJリーグを支えるコミュニティと日本代表に関心があるコミュニティです。問題はこの2つがあまり一致していなこと。逆にここをくっつけることができれば、Jリーグに日本国民の半分くらいの関心を向けられることになる。だから、ここをくっつけることが重要なのです。なので、いま言ったように「Jリーグを大きなコミュニティにしていこう」という観点から、僕はリーグに対して様々な提案をしています。

玉乃 どういった内容ですか?

img_2133夏野 あまり詳しいことは言えないのですが、ちょろちょろホリエモンが喋っているので言うと、「東京の都心にクラブがないって、どういうこと?」とかです。Jリーグの「地域に深く根差すホームタウン制」という開幕当初からの理念がありますよね。凄く素晴らしい理念だと思います。各地域の人たちがトップレベルのプレーを観ることができて、裾野から日本全体で盛り上げていくというね。実際、開幕から20年以上経て、日本全体で盛り上げる仕掛けはできた。けれど、一方で肝心の観客動員はどうなのだろう?と思うのですね。こんな観点からも大票田の東京23区にスタジアムがない、チームもない、これはものすごくもったいないことです。多くの人が都心に通っているわけだから、勤務帰りに観戦できるチームもスタジアムもないことは、サッカーファンを広げる大きなチャンスを失っている感じがしますね。

玉乃 東京23区をホームタウンにするチームですか。チームと言えば、ヴィッセル神戸の取締役をされていたこともありますよね?やはりチーム側の事情というのもふまえてJリーグへ提案されるのですか?

夏野 チーム側にとってみると、Jリーグは制約条件が極めて多いリーグなので、その中でどう運営していくかを考えます。本来こういったスポーツとかアートの世界って、昔からスポンサーが手弁当で大きな支援をして、たくさん選手を集めるような形だったわけです。日本のサッカーってJリーグ発足前は実業団制でしたし、海外ではロシアの大富豪が乗り込んできてドカンとやっちゃう、みたいな事例も多い。健全経営を志向するJリーグのクラブライセンス制度のもとでは、思い切ったことをやろうとするクラブやオーナーが現れたら、実は対応できないのですよ。このような事例も、もっと柔軟に考えていく必要があるじゃないかという話もしています。

玉乃 外資が入ってきたり、それこそドワンゴさんがサッカーチームを買われたりとかはありえますか?

夏野 今はないですね。外資については事実上大丈夫なのだけど。チームを買うかどうかの視点で見ると、今のJリーグでは、チーム経営をすることにメリットが全く感じられないです。