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樹林伸×玉乃淳 “好きなことの延長上じゃないと長続きしない”

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世の中で起こることは何かが少しずつ重なりあっている

IMG_5122 2玉乃 「書く」ことに取りつかれているような方だと伺っております。ある種書く「マシーン」のような方だと。

樹林 仕事量は多いよね。1日で原稿用紙100枚書いたこともあるしね。金田一のノベルスを書いているときもね、とにかく書いたなぁ。トランス状態になるんだよね、そういうとき。呼吸を止めながら書いている感じになってくる。締め切り、嘘つかれているんじゃないかなって思うくらい、ぎゅうぎゅうで来るわけよ。「あり得なくない?」みたいな。でも書くしかないからね。あんまり寝ないでさ。まず取材期間を設けるでしょ。それで頭の中では、ずっと起承転結を作るの。で、ある程度それが固まったら「ウワッと」書き出すんだよ。それが一番効率的。もちろん、いろんな作品があるし、いまは4つの連載を同時にやったり、ドラマの脚本や小説をやったりしているから、少しずつ分けながらローテンションさせて、その作業をやっているんだよね。

玉乃 …どうやって、作品ごとに頭を切り替えているのですか?サッカーの漫画を書いていたと思ったら、次の瞬間には頭の中を殺人事件にしなければならないわけですよね?しかも難解なミステリー…いったい、なんなのでしょう、その思考回路は? 

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樹林 「ああ、1つ書いたなぁ」って一息ついたときに、「ふっ」と閃いたりするのよ。世の中で起こることって何かが少しずつ重なりあっているので、なんと言えばよいか言葉見つからないけれど、雰囲気のようなものかな、他のことをやったあとの方が、次がよかったりするんだよね。同じことばかりやっていると絶対煮詰まっちゃう。サッカーやワインのことを書いていると、また今度はミステリーやりたくなったりね。その逆もまた然りでね。幼少期から飽きっぽくて、「読むこと」以外すべて飽きちゃったような性格だからさ、多分それぐらいがちょうどいいんだろうね、オレにとっては。

玉乃 大変お恥ずかしい話なのですが、僕も一時期漫画の原作者を目指して活動していたことがありました。だから漫画の原案を作るのにどれだけ膨大な時間がかかり、膨大な量の取材が必要で、造詣の深さをも求められるのかを知っているつもりです。

樹林 そうなんだってね。以前に漫画の原作者目指したことを聞いてビックリしたよ。「神の雫」は、話した通り、趣味の延長上にある作品だから、いわゆる「日常」の状態で取材の多くが済むから、それにかける時間もあまり仕事だと思ったことがない。他の作品は、たしかに好きなことの延長ではあるけれど、やっぱりそれなりに取材の量は多くなるよね。でもまぁ、それこそ幼稚園に通っていたときから本をひたすら読んでいたからね。ある意味、ずっと取材を続けているようなもので、そう考えると蓄積だよね…積み重ねの延長だよ、なんでも。 

IMG_5479 2玉乃 僕は、今回の取材で一番知りたかったのは、樹林さんがサイコメトラーのように特殊な能力を持った『天才』タイプの脚本家なのか、それとも12年間講談社に勤続されたことから推測できるように、努力を積み重ねる『秀才』タイプの脚本家なのか、というところでした。

樹林 もし「天才」がいるとしたら、ジャンルでいうと音楽と数学の分野にしか、いないんじゃないかなぁ。でもそういう人たちは、得てして何か欠けていたりするよね。モーツアルトなんて、よい例じゃないかな。天才だけれど社会性「ゼロ」みたいな。この(漫画の原作や脚本の)分野で長くやっている人っていうのは、社会性はもちろんあるし、むしろ社会から色々なことを吸収して自分の力に変えていくような力を持っているタイプの方が多いと思うな。

玉乃 そうですよね…幼稚園に通っていたときから、好きで本をひたすら読んでいたのですよね…愚問でした。すみません、勝手にサイコメトラー扱いしてしまって(笑)。

樹林 漫画の原作者もそうだけれど、ライターを「長く」やるのであれば、15~16歳までに数多くの本を読むのが大切なのかもしれないね。

玉乃 ところで、最初に頭の中で起承転結をつくる段階で、どれくらい先のストーリーまでイメージを固めているのでしょうか? 

樹林 たとえば、金田一は、まるまる一話についてエピソードを考えてからスタートしないとならない。トリックがあるからね。それでも書いている途中でだいぶ変わるよ。サイコメトラーEIJIなんて、結構ひどくって、途中で犯人も変わっちゃう(笑)。

玉乃 ええええ。それじゃ僕ら推理しようがないじゃないですか(笑)。

樹林 だから相当ビックリするよね、普通に読んでいる人は。オレも結末知らないんだから(笑)。

玉乃・樹林 はははは。

玉乃 ドラマ「24-TWENTY FOUR」(以下「24」)もモロにそうですもんね。シリーズごとに、つくっている人も違いますからね、わかるわけないですよね、あれ。相当ムカつきましたよ(笑)。

IMG_5118 2 のコピー樹林 ははははは。確かに。ニーナ・マイヤーズなんて本人聞かされてなかったらしいよね。犯人役が自分は犯人じゃないと思って演技しているわけだから、そりゃ演技完璧だよね。金田一ではそういうのはなかったけれど、サイコメトラーでは普通にあって、ブラッディ・マンデイでもあったかもしれないね。どうだったかなぁ(笑)。

玉乃 樹林さんが「24」にドはまりされていたとき、ドラマの撮影現場にジャック・バウアーとして登場されたという都市伝説を聞いたことがあるのですが本当ですか?

樹林 樹林 それ半分事実かも(笑) 大好きでね。打ち合わせ中にジャック・バウアーのモノマネやっていたもん。(立ち上がって)「手を頭の上にあげろーー!」なんて言っていたからね。

会場一同 (爆笑)

玉乃 メチャクチャお茶目じゃないですか(笑)。

樹林 楽しくなってきたね。ちょっと呑みながらやろっか!?

玉乃 え?よろしいですか!? ぜひぜひ(笑)。

樹林 これは日本のスパークリングなんだけれど、キザン(機山洋酒工業=山梨県甲州市塩山にある家族経営のワイナリー)のもので、うまいんですよ。どう?甲州のぶどう。うまいでしょ?本当によくできている。色もいいでしょ? 

玉乃 …。
ここ一番でまったくコトバが出てきません。「神の雫」のシーンのように、太陽にかざして色を確かめ、口にした感覚で評すべく、家で練習してきたのですが…。

樹林 ははは。