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金澤大将×玉乃淳 “校長を務めています”

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平坦な道より険しい道を 

選択肢がいくつか

あったとしたら、

一番厳しいものを選ぶ。

 

玉乃 その後、たしか教頭も務められて、そして教員生活3年目に、ついに校長に抜擢!…って、マジですか(笑)?理事会の承認とかも必要なのですよね?

金澤 もちろん、様々な分野の方々から反対の意見があったとは聞いています。私もさすがに話をいただいたとき、驚きを隠せませんでした。学校という教育の現場は、企業と違って、「若さ」がプラスに働かない場合が多いと考えています。若くてリーダーシップがあり、利益だけを追求していればよいというわけでは決してないですしね。もとより教育の現場における「結果」はとても難しいと思います。自分の教えが生徒たちの人生に影響を与えて、それが結果として表われるのが5年後かもしれないし10年後かもしれないのです。3年足らずの経験しかない私は当然まだ「結果」をだしていませんでした。この世界では、まだ若すぎると思いました。それでも推薦していただいた学園長先生や理事長先生の期待には応えたい一心で校長の大役を引き受けました。私にしかできないことをやってやろう、という思いもありました。もちろん経験不足、力量不足は認識しておりますが、いろいろな方々の支えによって、いまこうしていられております。支えてくださっている方々には感謝の気持ちしかありません。

玉乃 確かに「若い」校長先生ってあまりいませんよね。それにしても校長って…大変過ぎないですか?

金澤 たしかに…大変ですよね。でも個人的な考え方ですが、もしいくつかの選択肢があったとしたら、あえて一番厳しいものを選ぶようにしているんです。自分自身のプロサッカー人生に対する後悔みたいなものが、原因なのかもしれません。もっとああしておけば、もっと努力しておけば…平坦な道より険しい道を選んで、そこでどれだけのことができるかを試すことによって自分自身の価値を高めることもできるし、可能性もさらに広がると思うのです。だから大変な校長を引き受けました。一番厳しい道を選ぶのは、もはや私の信念でもありますね。

玉乃 いま話している表情を見ても、その信念は揺るぎないものだと分かります。それでも、教育現場ってタフな職場ですよね?僕みたいに屁理屈ばかり言っている生徒もいるだろうし。

金澤 ははは。例えば、なにか注意をして、露骨に機嫌が悪くなったりする子はいますよね。それに対して、こっちが感情的になっては、信頼関係も築けないですよね。

玉乃 どう接するのですか?

金澤 「なんだ、どうしたんだよ?」とか「なにか不満でもあるのか?」という感じでしょうか。頭ごなしに怒ってもダメだと思うので、コミュニケーションを取るためになるべく生徒たちの言葉を引き出すように意識しています。見た目だけで判断されて悩んでいたり、成績が思うように上がらず劣等感を抱えていたり、生徒たちの数だけ、悩みっていろいろあるはずなのですよね。それを聞き出して、問題を共有して、良い方向に持っていけるようにしたいんです。
ときとして、強い言葉で伝えることもありますけれどね。そうやって伝えなければならないときもありますから。

玉乃 少し問題がある子は、家庭にいろんな事情を抱えている場合が多いと聞いたことがありますが…。

金澤 一概にそうとは言い切れませんが、だからといって家庭の事情がまったく無関係だとも思いません。十分な愛情に満たされず、誰かにかまってほしくて悪さをしてしまう場合もありますし、ほとんど怒られた経験がなく物事の善悪を理解できていない子だっているかもしれない。でも、そんな子どもたちもいずれ社会に出て行くし、たとえ問題児と見られたとしても、絶対に良いものを持っています。それを悪い方向に持っていかないようにしたいです。乱暴な言い方かもしれませんが、夢や目標を持っている生徒は、放っておいても大丈夫なんですよ。誰が教えても、勉強もできるでしょう。そうじゃない生徒たちに、いかに夢や目標を持たせて取り組ませるかが大切だと思っています。