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大野俊三×玉乃淳 “自問自答を繰り返して今がある”

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サッカーとは切っても切れない縁 

総合スポーツクラブを

立ち上げたい。夢じゃなく、

もはや使命だと思っている。

 

玉乃 経営も任されているのですよね? となると、監督兼GMですね。業績のほうはどうですか?

大野 僕がここに来る前は1億ちょっとの累積赤字があったみたいだけれど、今では春・夏・冬の学校の長期休暇期間は、ほぼ満員。それ以外の日でも週末は、大学のサークルの大会でほぼ埋まりつつある。ウィークデーをどうするかという課題はあるけれど、現状十分に採算ベースにはのっている。あと、全国から多くの指導者や生徒がこの施設を利用しにきてくれるから、常にサッカー人と交流を持てるんだよね。最高だよ。

玉乃 へぇ。一度、完全にサッカー界から離れたのにもかかわらず、巡り巡ってまたこうして日本サッカー界を支えているのですね。

大野 本当に不思議だよね。あらためて、サッカーとは切っても切れない縁なんだと思うよ。

玉乃 常に前進し続けている印象の大野さんですが、この先にはどんな野望やビジョンがあるのですか?

大野 ここに総合スポーツクラブを立ち上げたいと思っている。いま既に、サッカーやラグビー、アメフトができるグラウンドが5面、屋根付きフットサル場が4面、テニスコートは全部で25面、野球場や体育館、宿舎、大浴場もあるからね。スポーツクラブは夢じゃなくて、もはや使命だと思っている。

玉乃 ハード面は揃っていますよね。

大野 理想は、いろんなスポーツが交流できればいい。例えば、サッカー部や野球部が互いの競技で対決する。野球部がテニス部と対決するのも楽しいんじゃないかな。

玉乃 それで、子どもたちの隠れたポテンシャルが引き出されるかもしれませんよね。

大野 あとは、ご年配の方に喜んでいただけるようなプールが欲しい。現存する宿舎とは別に、ホテルを増設したいんだけれど、そこにプールを作れればいいかな。

玉乃 え!さらにホテルも?どれだけイケイケですか(笑)!?

大野 好奇心が強いんだよ。たった一度の人生だし、面白いと思うなら、なんでもやってみたい。当面の目標は、ここを国内随一のスポーツ拠点にすること。そのためには、宿泊施設の拡大や医療体制の整備など、まだまだやらなければならないことは多い。でも、自信を持ってプロジェクトを推し進められるのは、数々の失敗のおかげだと思っている。これまでチャレンジしてきたことすべてが、今の糧になっているからさ。


ono2別れ際、深々とお辞儀をされ、「お気をつけて」とお見送りしてくださった大野支配人がとても印象的で
した。対談中にお話しいただいた、頭を下げることへの葛藤の話が、作り話であるかのように、その自然なお辞儀に何かのメッセージがこめられているように感じて、印象的だったのです。

旺盛な好奇心がゆえに慎重さを欠いたと本人が謙遜される引退直後の仕事への取組み、失敗を糧にして常にチャレンジを繰り返す強い姿勢、いろいろな局面で見せたいろいろな顔がすべて大野支配人自身なのだなと、余裕ある優しい語り口調から、僕は理解しました。強い責任感というリーダーシップで組織を引っ張っている現在、総合スポーツクラブをたちあげて、ビジネス界においてもレジェンドになられる日もそう遠くないのでしょう。その日にはあらためてインタビューしたいものです。目尻に刻まれた経験のひとつひとつをまた包容力ある笑顔で語っていただける日をお待ちしております。ありがとうございました。

 

大野俊三(おおの しゅんぞう)プロフィール

1983年、習志野高校卒業後、住友金属工業に入社し、同社サッカー部に所属。Jリーグ開幕の前年に同社が鹿島アントラーズになると共にプロ契約を締結。
1993年のJリーグ開幕からスタメンに名を連ね、チームの黄金期を支える。
1996年に京都サンガへ移籍し、同年現役引退し、京都にて育成者としてのキャリアをスタート。

以降、飲食店経営やサッカー解説者を経て、現在はスポーツ施設「鹿島ハイツスポーツプラザ」(http://kashima-hsp.com/)の支配人をつとめる。

 

サッカーダイジェス 2013年12月10日号掲載