TAMAJUN Journal

岡部恭英×玉乃淳(後編)“準備が全て。徹底的にやれば誰でもできる”

岡部さん_703
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いくつかのエクスターナルファクターを経て、日本を飛び出した岡部氏はヨーロッパへ。一時は二度と見たくないとさえ思ったサッカーが常に彼の近くにあったのは、氏が気づいたようにサッカーが超グローバルなコンテンツだったからなのでしょう。2,000を超える国や地域で競技されるスポーツに導かれるように、岡部氏は熱いパッションでサッカービジネスに切り込んでいきます。


最高のパートナーと挑んだ、ヨーロッパサッカー最先端への道

玉乃 いよいよここから「TEAM MARKETING AG」へ入社するまでの軌跡が語られるわけですね。初公開ですかね。

岡部 そう。サッカービジネスに身を投じようと決意して…そのためにはサッカーのメッカ、中心地に行かなければならないとすぐに思って、そのためにはどうすればいいのかと考えたわけ。当時そんな奴はアジア人ではいないから、売り込まないとならないよね、自分を。まず欧州では誰でも知っているところでMBAとらないといけないなと考えて、スタンフォードとかハーバードとか、名門に通っていた方々に相談にいったわけ。その相談した人の一人がのちに妻になるんだけれど(笑)。

玉乃 おお!!なんという綺麗なストーリー。あまりによすぎる話だったら掲載時にはカットさせていただきます(笑)。

岡部 彼女、慶應のSFC(湘南藤沢キャンパス)からスタンフォード、賢いよね。で、僕に言うんだ。「駐在員も悪くないけれど、好きなことを仕事にしたほうが…」って。そんな素晴らしい夢が見つかったなら絶対やったほうがよいと。異質を受け入れるアメリカのメンタリティを持っていたわけだね。で、ものすごくサポートしてくれて。そのサポートのおかげもあって、僕の意志も固まってきて…ケンブリッジを受験することにした。出会って1年くらいで結婚したんじゃないかな。これで僕は最高のパートナーを手に入れた。

MBA授業料は年間500万円程度かかるんだけれど、当時勤めていた会社が出してくれるって言ってくれたんだよね。MBA取ったら戻ってきてもよいという条件もくれて。ところが、ここで妻の金言があるわけ。「絶対に断れ!」って。「これから進もうとする道は前人未到の大変な道だ。だからすべての退路を断っていきなさい!」って。会社辞めて…無収入。さらにそう言った妻も仕事をやめてついてきてくれて…二人で無収入。

ここからが彼女のスゴイところなんだけれど、気づいたら、僕の通っていた学校の助手になっていたわけ。僕のクラスの教授の助手しているんだよ。

玉乃 はあああああああああああああああ!?

岡部 そういうリアクションになるよね(笑)。

玉乃 同い年ですか?

岡部 僕の2つ下。

玉乃 ええええええええええ!! ということは、当時29歳?

岡部 ははは。ケンブリッジで助手。スゴイでしょ。たいしたもんだよ(笑)。妻に食べさせてもらいながら勉強していた(笑)。パートナーは超重要!今偉そうにヨーロッパサッカーの最先端にいます云々だけれど、すべては妻のおかげ。

玉乃 ハンパじゃない!この取材をそろそろ切り上げて、奥さまへの取材に変更してもよろしいですか?

岡部 ははははは。それはねえ、今の会社の最終面接のときにも社長に言われた。「君の奥さまと契約すべきだった」(笑)

それでもね、ヨーロッパサッカーの最先端で働くにはケンブリッジの卒業証書なんてなんの意味を持たないわけ。だってほとんどの向こうのサッカー人、すなわちプロ選手になれなかった人、サッカー好きな人、あらゆる人が夢見る職業だから。FIFA、UEFAやレアルマドリー、FCバルセロナにいきなり訳のわからない日本人が入れるかっていったら、そりゃ入れないよね。どんな名門校のカリキュラムを経たって、欧州サッカー界の真中にアジア人はまず入れない。ということは事前のリサーチで分かっていたけれどね。普通に行ってもアポすらとれない。

売り込まなきゃいけないのにアポすらとれない…妻と作戦会議。結局、修士論文用のインタビューという名目で、会社やクラブを訪問したんだよね。アポが取れたらチャンス到来、とにかくそのクラブやマーケティング会社のことを事前に徹底的に調べて、修士論文用のインタビューをさせてもらうだけのはずなのに、「貴社はもっとこういうふうに戦略を立ててビジネス展開していくべきだ」とプレゼンするわけですよ。MBA風に説明するわけ。「自分はあなたたちにこういう貢献ができます」「ビジネスの世界はギブアンドテイクだ。修士論文用のインタビューを答えてくれた代わりに、僕なりに分析してきたものから、あなたたちにアドバイスをさせて下さい」と。だから5分だけくれって言って…5分が20分になり、1時間になり。

そういうことをやっていたら3つのクラブからインターンのオファーが来たわけ。「お前、面白いな。」って。それがプレミアリーグのエバートンとセリエAのインテルとユベントス。当時プレミアリーグのビジネスが一番進んでいると僕なりのリサーチ結果があったから、エバートンに行った。もちろんその選択も妻に相談して決断したんだけれど(笑)。

玉乃・岡部 ははははは。

玉乃 いやぁ、何かとんでもなく壮絶なことをしてきていますよね。岡部さんの飾らない口調からだと、ついつい簡単なことのように思えてしまいそうですが、異次元なトライの連続だと思います。