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波戸康広×玉乃淳 “今の時代、二足のわらじは当たり前”

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F・マリノスは〝老舗〞。そのイメージを壊してはいけない。

玉乃 将棋連盟との仕事は、どういった内容なのですか?

波戸 主に日本将棋連盟と一緒にイベントに参加しての普及活動ですね。あと、サッカー協会の川淵三郎最高顧問は将棋連盟の外部理事をされています。川淵顧問とお会いしたときに、「これからもっと将棋界とサッカー界のパイプ役として広めていってほしい」とも言われて、いろいろと考えてはいます。将棋の街としても有名な天童市がある山形がJ1に昇格したので、これは〝将棋ダービー〞ができるな、とか。

玉乃 その際はぜひ、僕も呼んでください! 将棋、大好きです。

波戸 そうですか! ぜひぜひ。

玉乃 勝てる気はまったくしないんですけれど(笑)。それにしても、アンバサダーだけでも忙しそうなのに、さらに活動のジャンルを広げられているのですね。

波戸 夢先生もやらせてもらっていますし、あとは、サプリ関係ですね。僕の引退試合をスポンサードしてくれたサプリメントの会社があって、美容業界で有名な植村秀さんが手がけているのですが、その会社がオリンピックに向けて、新たにスポーツサプリをプロデュースすることになって。で、僕は顧問をやらせていただいていて、毎月の定例会に出席して、プレゼンしたり…そういう活動もあります。

玉乃 アンバサダーにして、スーパービジネスマンじゃないですか! そのモチベーションはどこから湧き上がってくるんですか?

波戸 玉乃さんだって、玉乃さんだって、こうしたメディアのお仕事や、マネジメント会社と契約されたりと、いろいろされていますよね。それは、サッカー以外の部分でもチャレンジしたい気持ちが強いからだと思のです。僕も、現役時代はサッカーしかやってこなかった。それだけに、他の分野でも自分に合っているものがあるのではないかと。人生は一度だけだから、チャレンジしたい。そう思いませんか?

玉乃 チャレンジ、したいです。

波戸 ですよね。僕もそれだけです。

玉乃 ただ、市議会議員とかそっち方面はないかな(笑)。

波戸 まあ(笑)、もしスタジアムを作るとなれば、行政とも協力体制を築かないといけないわけで。いずれにしても、サッカーはサッカーで勉強しながら、他の分野にもチャレンジしています。

「二足のわらじ」という言葉がありますけれど、それは今の時代では当たり前だと思っています。サッカーで言えば、ポリバレント。仕事もひとつのことしかできないというのではダメで、いろんなことができないとダメだと、個人的には考えています。

もちろん、いつになるか分かりませんが、現場に戻ってチャレンジもしてみたいです。

玉乃 そうした様々な活動がまた、クラブにも還元されるわけですよね。

波戸 そうですね。ただ、広報活動になるとしても、なんでもいいというわけではありません。横浜F・マリノスというクラブは、たくさんの大先輩方がその歴史を紡いできた、日産自動車から続く、いわば日本サッカー界の〝老舗〞です。誤解を恐れずに言えば〝品格〞がある。そのイメージを壊してはいけない。Jリーグを引っ張っていく存在だと理解し、アンバサダーとしていろんなことに貢献していきたいです。そういうアンバサダー像を作り上げたいし、セカンドキャリアという側面でも新たなモデルケースというか、後輩たちに何かを示すことで、いろんな選択肢を与えられればと思っています。

玉乃 壮大なスケールですね。日々の準備も半端ないのでは?

波戸 正直、時間が足りないぐらいですね(笑)。


波戸さんから発せられるギラギラ感…強烈でした。セカンドキャリアもポリバレントでなければならないと仰っていましたが、現役時代活躍されていた姿そのままのセカンドキャリアだと僕の目にはうつりました。ポリバレントな選手という言葉は、サッカーの世界では波戸さんの現役時代のように複数ポジションをこなすユーティリティプレーヤーを意味しますが、もともとは「多価」を意味する化学用語です。世の中のニーズや価値観が多様化する現代において、ビジネス界でも当然に「多価」が求められるわけですね。

いつもこの対談を通じて、ゲストの10年後を勝手に想像してワクワクしているのですが、いったい波戸さんの行き着く先は…今回はポリバレント過ぎてまったく想像つきません。議員さんになられてサッカー専用スタジアムを作ることにご尽力しているのでしょうか…想像するのは自由です(笑)。どのようなビジネスをしていらっしゃるにしても、その「多価」の根底にある、350試合以上を戦い抜いた熱い思いを継続されていることだけは間違いないでしょう。

波戸康広(はと やすひろ)氏プロフィール

1976年5月4日、兵庫県生まれ。滝川第二高校から横浜フリューゲルスに加入。98年横浜F・マリノスに移籍。日本代表としても活躍し、Aマッチ15試合に出場。柏レイソル、大宮アルディージャを経て、2011年に横浜F・マリノスで現役引退。現在は同クラブアンバサダーを務める。
子供の頃から将棋が趣味で2010年に横浜F・マリノス発行の雑誌トリコロールでサッカー好きの佐藤和俊五段と対談したことがきっかけとなり、将棋界では深浦康市九段、木村一基八段、野月浩貴七段、西尾明六段とも交遊がある。

 

サッカーダイジェスト 2015年1月6・13合併号掲載