TAMAJUN Journal

野々村芳和×玉乃淳 “世の中を知る大切さ”

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本稿がサッカーダイジェストに掲載されたとき、歴史的な視聴率だったテレビドラマ「半沢直樹」が放映されていました。ドラマを通して理不尽な会社内の上下関係を見て、僕はどのような方が、経営者となり、何を考えて何を目指しているのだろうと思っていました。

社長として自らノンフィクションサクセスストーリーの主人公として歩む野々村芳和氏。「倍返し」ではなく、一歩一歩確実な歩みこそが、会社の経営基盤を築くのだと納得させられました。そしてその経営マインドはサッカーへの情熱で溢れていました。

長く愛されるクラブを作るには

7億円の強化費でも

10億円以上の価値を

十分に作り出せる。

 

玉乃 ノノさんの著書『職業サッカークラブ社長』、一気に読みました。すごく面白かったです。

野々村 そう? ありがとう。本当はもっとたくさん伝えたいことがあったけれどね。

玉乃 こうしてノノさんに久しぶりに会えて嬉しいです。でも、ちょっと…。

野々村 なに? 太った?

玉乃 あの、社長ともなると、やっぱり良いものをたくさん食べたりするのですかね?(笑)

野々村 〝社長体型〞に仕上げているんだよ(笑)。いろんな場所に顔を出す機会が多くなって、若造だと思われるのも癪だから(笑)。

玉乃 今、おいくつになられたんでしたっけ?

野々村 41歳だけど。

玉乃 貫録…出過ぎていません?

野々村 そんなことないよ…なに?〝お腹が〞ってこと?

玉乃 ち、違います。雰囲気です、雰囲気が(汗)。イケイケ社長!!って感じですかね?

野々村 ははは。そんなことないよ。本、読んだでしょ?

玉乃 はい。経営がけっこう大変なようで。社長に就任された時点で債務超過があるようですけど?

野々村 去年から導入されているクラブライセンス制度は知っているよね? 12年度から14年度まで3期連続で赤字、もしくは14年度末時点で債務超過だと、ライセンスがはく奪されてJリーグで戦えなくなる。

玉乃 大変な時に社長を引き受けましたよね?

野々村 そう、大変。簡単じゃない。だからジュン、資金的なサポートを期待しているよ(笑)。

玉乃 ははは。僕にできることがあれば! と威勢よく言いたいですが、今はやめておきます(笑)。でも、こうして社長に就任したからには、ノノさんのなかで明確なビジョンがあるわけですよね?

野々村 もちろん。コストカットだけですべて解決できるものではないけど、とにかく、サッカークラブとして魅力的なコンテンツを提供できなければ誰も応援してくれないし、やっている意味がない。資金的に恵まれていなくても、例えば強化費に年間10数億円を使えるクラブに対抗するためのやり方はあるんだ。

玉乃 と言いますと?

野々村 やっぱり育成だよね。自分のイメージでは、バルセロナのように下部組織から常に有能な選手をすくい上げられるようになれば、年間7億円ぐらいでJ1に定着できると踏んでいる。外から即戦力や有望なタレントを獲得しようとすると、他クラブとの競合によって、場合によってはその選手が持つ本来の価値以上の資金が必要になってくるケースもある。だから、コンサドーレのような財政状況のクラブは、自前の選手を育てて戦力にするしかない。それプラス、計算できる助っ人を補強できれば、およそ7億円の強化費でも、10億円以上の価値を作り出すことは十分に可能なんだ。それができるだけのポテンシャルがこのクラブにはある。

玉乃 でも、育成ってすごく時間がかかる作業ですよね?

野々村 まあね。育成、もしくは普及活動は、今すぐに成果が出ないというか、10年後を見据えて根気よく続けないとダメ。今年、小学1年生に種を撒いたとしたら、華が咲くのはだいたい10年後だから。

玉乃 ということは、ノノさんはコンサドーレと10年契約!? いやいや、もしかして生涯契約だったりするんじゃないですか!?

野々村 違うだろ(笑)。一般的には2年契約とかじゃないの? というのも実は、大きな声では言えないけど、契約のこととか詳しく知らないんだ(笑)。気にしたこともないし、誰に訊いたらいいかもよく分かっていない(笑)。もちろん、本当の意味で強いチーム、魅力あるクラブにするためには、短期と長期、それぞれのビジョンを持って経営にあたるべきだと思うんだけど、今はとにかく、長く愛されるクラブを作るにはどうすればいいかを考えるので頭がいっぱいというか、契約年数が何年であろうともやることは変わらないというのが正直なところかな。