TAMAJUN Journal

前園真聖×玉乃淳 “ゴールは決めない”

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扉㈰

ゴールは決めない

ゴールは決めていない。

目の前の仕事に、

真剣に取り組むだけ。

 

玉乃 なるほど。今後の目標というか、方向性というか、最終的なゴールって見えてきました? バラエティキングになるとか(笑)。

前園 ゴールはね、俺、決めていないんだ。

決めていないというか、だって、復帰させてもらってまだ1年半だから。この取材の後も収録があるけど、1年半前の自分を考えれば、奇跡に近いからね。いただいた仕事をひとつずつ、一所懸命やっていくだけ。2年後はどうなっているか分からない。とにかく経験を積まないと。自分がこれからどうしていかなければいけないか、どのように周りと接していくべきか、なにをすれば自分がこの世界で長くやれるかとか、そういうのはいろんな経験の中で学んでいけるはず。

だから、目の前のひとつひとつの仕事に真剣に向き合うだけだよ。

玉乃 学校の授業を受けているみたい!!まさに〝しくじり先生〞じゃないですか(笑)!

前園 ははは。でもね、本当にそうだと思うよ。自粛期間は仕事が一切ないから、収入もゼロ。そういうこともあって、もし次の仕事のオファーをもらえたら、精一杯やろう、と。スケジュールが空いている限り、全部やるつもりでいる。それしか今の自分にはできないから。

玉乃 ゾノさんらしいです。最後に現役選手へのメッセージをください。

前園 プロとしてみんな一生懸命やっているはずだから、やれる限りは続けてほしい。もっとも、先がどうなるか分からない世界だから、いろんな選択肢を、なんとなく持っていたほうがいいと思う。怪我だってあり得るわけだから。そして、どんなことにもチャレンジするのも大事。そういう気持ちを持って、これからも頑張ってもらいたいね!

◆   ◆   ◆

「切り替え」の早さは、サッカー選手の〝奥義〞なのかもしれないですね。なにせ、現役時代は解雇とか構想外とか、日常茶飯事ですから。昨日のチームメイトが監督と衝突して、明日は相手チームにいるということも。突然の怪我で大好きなサッカーができなくなるケースだってあります。

 それでも常に新しい自分の居場所を探さなければならないわけですから、その生命力、力強さはサッカー選手の最大の武器といっても過言ではないでしょう。

 前園真聖氏は、現役時代に満員のスタジアムで感じた言葉にできない興奮をセカンドキャリアでは感じることができないことを認めながら、一歩一歩、地道に目の前のことを誠実にこなすことが、大切であることを教えてくれました。

氏が歩んできたアップダウンは、なかなか体験できないことかもしれないし、味合う必要がないような経験なのかもしれません。ただ、ミスをミス、負けを負けと認めて、気持ちを切り替えて、前のみ見つめながら歩くその姿勢に、バイタルエリアで相手ディフェンダーを切り裂いた現役時代のドリブルの残像が重なり、同じくセカンドキャリアを歩む僕も勇気をいただいたのでした。

前園 真聖(まえぞの・まさきよ)プロフィール

生年月日 1973年10月29日
鹿児島県出身
1992年鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。
1996年、アトランタオリンピック本大会では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出、サッカーファンのみならず、広く注目される事となる。
ブラジルのサントスFC・ゴイアスEC、韓国の安養LGチータース・仁川ユナイテッドなどの海外クラブでプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。
その後は解説者としてメディア等で活動しながら、ZONOサッカースクールを主催し、普及活動を行う。現在は、メディアに出演しながらも、ZONOサッカースクールを中心に全国の子供たちにサッカーの楽しさを教えるための活動をしている。

サッカーダイジェスト 2015年6月25日号掲載