TAMAJUN Journal

戸田和幸×玉乃淳

Tweet about this on Twitter0Share on Facebook27

俺の厳しすぎるところは、とんでもなく豪快だったお爺ちゃんに似たらしい。

 

玉乃 戸田くんのその尋常ではない、〝勝利への欲〞は、どうやって育まれたんですか?

戸田 なんだろうね。親も兄貴も公務員だし。俺がこのキャラクターになったのは、おそらく高校の時の影響だと思う。桐蔭学園高に入学して、李(国秀)さんの指導を受けて、主張することの大切さとかを学んだのは事実。ミーティングでは高校生ではまだ完璧に理解できないような話をしてもらった時もあった。政治とか、世界情勢とか。でも多分、李さんが伝えたかったのは、「お前たちは結局これからそういう世界で生きていくんだ、サッカーが上手いだけではダメだ、見られている意識を持ちなさい。」ということだったと思う。なんとなく分かるでしょ? 桐蔭の人と話していると、そういう雰囲気がない?

玉乃 戸田くん以外はないですね。

戸田 あ、そう。ないか。

玉乃&戸田 ははははは(笑)。

戸田 李さんにいつも言われていたのは、「お前、いつも帰りに町田駅で喧嘩してこい」ってね。もちろん、例え話のひとつではあるけど、それぐらい当時の俺には本当に闘争心がなかったんだと思う。これから社会に出ていくにあたって、自分をしっかり持つこととか、主張することを恐れるなと教えられた。でもまあ、あれだけ大人しかったはずの俺が、プロの世界ではまったく真逆な感じになっちゃうんだからね(笑)。

玉乃 人ってそんなに変われるもんなんですね!? 元々、もっとなにか過去にあったんじゃないかと勘ぐっていたんですが……。

戸田 うーん。強いて言えば、小学校の時から、練習中にファミコンの話をしているヤツとか大嫌いだったわ(笑)。ファミコンの話、子どもなら、全然普通のことだよね? でも、俺はすごく嫌だったの。試合で点を取って喜んでいるのは別に良いけど、「お前、今日のプレー全然ダメじゃん」とか密かに思っていた(笑)。

玉乃 あまり仲良くなりたくないタイプのチームメイトですね(笑)。

戸田 ははは。厳しすぎるかもしれないよね。俺のそういうところは、どうやらお爺ちゃんに似たらしいんだよ。お爺ちゃんはとんでもなく豪快な人だったみたいで、戦時中はひとつ分隊を持っていたらしくて。

玉乃 絶対にそれだ。戸田くんのあの理解不能な闘争心の謎が、ようやく解明できましたよ。完全にそのお爺さんの血筋ですね。

戸田 そういう人たちが国を、日本をもっと良くしようと紡いできた歴史があって、自分たちが今こうして生かされているわけだよね。それはすごく真剣に考えてきたし、だったら俺はどう生きていくべきかを、サッカーをするうえでも常に大事にしてきたというのはある。

玉乃 ディス・イズ・〝ラストサムライ〞! その風貌といい、海外に挑戦したキャリアを振り返っても、一筋縄ではいかない。

戸田 サッカー人生を送るなかで、リスクなんて考えたこともなかった。欧州移籍のオファーが来て、躊躇するなんてありえないし、今の自分の環境と条件を照らし合わせている時点で、俺はもうナンセンスだと思ってるから。だって別物だから。ステージが違うんだから。例え給料が下がったって行けばいいじゃんと思うし、俺はそう思ってやってきたからね。イングランドでも、オランダでも、韓国でもそう。今振り返ると、全部テスト入団だったしね。チャンスがあるなら、すべて掴みに行ったよ。もちろん、もっともっと良い結果を出したかった。それは今でも残念に思っているけど、当時は自分なりに最善を尽くしてやったから、後悔は一切してないよ。