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根占真伍×玉乃淳 “ケガと歩んだ選手生活”

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根占真伍。この名前にピンときたサッカーファンは少なくないはずです。

2007年J1最終節で浦和レッズの優勝を阻止した男。最下位ですでにJ2降格が決定していた横浜FCが、勝ち点1で優勝の決まる浦和レッズに挑んだ試合で、この試合唯一の得点をあげた男。優勝決定の瞬間を見にきたレッズサポーターを凍りつかせた世紀のKYゴールを決めた、根占真伍氏が今回のゲストです。
小学校4年生のときから旧知の仲である根占氏の壮絶なケガとの戦いは、一見華やかそうなJリーガーの光と影を象徴するようなものです。世界をみわたしてもあまり症例がない先天的な膝の病に悩まされ続けたにもかかわらず、10年間にもわたり第一線で活躍した彼を支えたものは、何だったのか?

壮絶なケガとの闘いの歴史と、その愛される人柄にせまります。


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浦和サポーターの記憶に名を刻んだ男

玉乃 わざわざ沖縄からおこしいただき、ありがとうございます。

根占 いえいえ。

玉乃 根占くんといえば、サッカーファンには忘れられない、あのシーンが…2007年でしたっけ?…浦和レッズの優勝を阻止した「あのゴール」で名を馳せましたよね。

根占 名を馳せた?(笑)

玉乃 最終節でしたっけ?

根占 そう。浦和vs横浜FC。浦和は、勝てば優勝で、引き分けでも優勝で、僕らは(横浜FC)すでに降格が決まっていて、試合はじまる前から、誰もがみんな浦和優勝の空気の中にいた…日産スタジアムで。

玉乃 満面の笑みでゴールして(編集部注/前半17分の根占選手の得点が決勝点となり、最終節で浦和が鹿島に逆転優勝された)、5万人のレッズサポーターの沈黙を誘った…よく当時、街を歩けましたね。

根占 確かに(笑)。

玉乃 いろいろ言われました、そのとき?

根占 どういうこと?

玉乃 KYとか!?

根占 言われたかな。

玉乃 レッズサポーターに「なにしてくれてるんだ!!」とか。

根占 それは、ないかな。

玉乃 「根占真伍」とサッカーファンが聞くと、だれもが半笑いになる(笑)。

根占 やっちゃったな、あいつ…って(笑)。

玉乃 ウチのスタッフたちも、「あ、あの人ですね?」って、「やっちゃった人ですよね?」って(笑)。激動のサッカー人生を歩んできたとは誰も知らずにね。結局、何年現役でやりましたか?

根占 なんだかんだで、結局10年。小学校4年生からヴェルディで。ヴェルディジュニアユース、ユース。で、トップチームにはいって…4年間ヴェルディのトップチームでやって、4年間横浜FC、2年間熊本かな。合計10年。もう1年間、最後に海外でもやりたくて、探してみたいと思ったけれど、そのまま引退しました。

先天性の重度の持病

玉乃 引退時は28歳ですよね。ということは、引退後まだ3年そこそこしか経っていないんですね。もう10年ぐらいかと思いました(笑)。僕はそばにいたので、根占選手といえば「膝のケガ」というイメージが強いのですが…ファンの方も含めてみなさん、そんなに知らなかったと思うんですよね、あの苦労を。いつ頃から膝のケガに悩まされていたんでしたっけ?

根占 中学からです。中学3年から常にアイシングをしていたからね(笑)。

玉乃 それはオスグット(成長痛)ですか?

根占 それの延長にあるような状態だったらしくて。最初片足だったのが両足とも痛みが出てしまって…。

玉乃 すごかったですよね。練習前のケアと練習後のアイシング。成長痛と思っていたら、成長止まってからもずっと痛そうでしたよね。大手術も経験したわけですけれど、あれは、いつ頃でしたっけ?

根占 プロ入って2年目かな?

玉乃 プロ1年目からレギュラーで試合に出ていたのに。

根占 痛みとつきあいながらだね。2年目にはもう制御不可能になって、腱が切れちゃった。 1年ぐらいリハビリして復帰して、またケガして、計3回やっているからね、手術。

玉乃 想像を絶しますよね、いま考えると。世界をみわたしてみて…この同じ持病を持った方って誰でしたっけ…?

根占 イタリアのキエーザとブラジルのロナウド。

玉乃 あ、そうでしたね。当時、日本で手術できるドクターはいたのですか?かなり特殊なケガだったと思いますけれど。

根占 手術できる先生はいたけれど、症例が少なかったようだよ。結局手術する人は交通事故か、お年寄り。スポーツ選手としては初めてだったみたい。国内で名医といわれている先生でも症例が少なかった。1回目の手術では完ぺきではなくて…結果的には成功したけれどね、手直ししてもらったっていう感覚だよね。復帰してからも、また別の痛みとの闘いがまっていた。膝が曲がらないとか、逆足をかばって痛めちゃうとか…。

玉乃 よくその状態で28歳まで続けられましたよね?しかもプロの第一線で。

根占 いま考えると、たしかにね。

玉乃 そんな痛みの中、「やめたい。」と思うことは、一度もなかったんですか?

根占 一度もなかったですね。まあ、これは後日談なんだけれど、1度目の手術のときに、ドクターが僕の親に、「(現役続行は)無理かもしれない、覚悟しておいてほしい。」伝えていたそうです。僕は聞いていなかったけれど、やめざるをえなかったかもしれないですね。

玉乃 そのことを、いつ聞かされたのですか?

根占 24歳。結婚したときぐらいかな。それにしても選手時代の半分ぐらいはリハビリしていたんじゃないかな。