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南壮一郎×玉乃淳 “この場でお約束します”

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真のビジネスパーソンをスポーツビジネスの世界に

さて、新規事業やビジネスモデルについてよく質問されますが、僕の答えはシンプルです。あくまでも僕の私見ですが、ビジネスを創る上で、もっとも重要なことは「課題」探しだと勝手に思っています。国や社会に存在する課題を発見して、色々な工夫や発想を発明に変えて、課題解決をしていくことこそが私の考える事業創りです。また発明をするためにも、普段から意識していることがあります。それは、世の中に興味を持ち、世の中のありとあらゆるものの構造を調べることです。業界や企業、商品や人。日本のみならず、世界中の面白いものや成功しているものに関心を向け、徹底的に情報収集することを続けています。

新しく事業やサービスを考える際、まずは自分たちがもっている課題意識と他社様や成功事例などを徹底的に探し出してみることが重要です。自分の発想だけでアイデアを生みだそうとするのではなく、世界中の素晴らしい頭脳を活用した方がスタートラインに早く立てます。

例えば、楽天イーグルスのさまざまな事業運営を構想した際も、同じような行動を取りました。私が関わっていたスタジアム・ビジネスでは、特にこの考え方が欠かせませんでした。我々は、プロ野球球団の運営は初めてで、素人同然でした。他球団の皆さまのご協力により、過去の成功事例を詳細まで研究させて頂いた後、スタジアム・ビジネスの本質を考え、スタジアム経営とは、キャパシティがある箱をいかに効率よく運営するかが重要なビジネスであると捉えました。そう捉えると、同業他社以外にも、カラオケボックスや映画館、またホテルやディズニーランドもベンチマーク先になり、それらの成功事例も参考にするようになりました。このような発想で情報収集をすれば、一気にアイデアの発想が広がり、自身の業界にとっての新しい事業や発明に繋がりやすくなります。世界中には成功するためのヒントがたくさん落ちています。世の中の動きに興味を持ことは、スポーツの世界でも、他の領域でも、新しい事業やサービスを生み出すための重要なポイントだと個人的に感じています。

ビジネスの基本は、私はお客様を明確にして、課題を正確にとらえ、課題解決をシンプルに提供することだと感じています。よって、自身がスポーツを好きなことが、スポーツビジネスで成功する上での最も重要な要素ではないと思っています。お客様であるファン、それが試合観戦にくるファンやテレビで見ているファンかもしれません、そしてスポンサー企業様が求めていることをしっかり把握して、それをサービスや商品として生み出すことができることが、スポーツビジネスで活躍できるビジネスパーソンです。また球団やクラブ、リーグやスポーツそのものをビジネス面で発展するには、すでにファンとなっている方々だけを満足させても成長はありえません。ファンではない方々にどうやってリーチして、どのように自分たちの商品を売っていくかが重要です。そういう意味では、もしかするとスポーツ好きな方は、そのような新しいファンやお客様の心理を掴みにくく、興味を獲得するのには向いていないのかもしれません。そのくらいの発想を持ちながら、お客様をどのように増やしていくのか、楽しませてファンでい続けてもらえるかは、スポーツだけではなく、ビジネス全般で大切なような気がします。

時々、スポーツビジネスに携わる経営者の方々に、自社の採用についてどのような人材が良いかと相談を受けることがあります。僕のアドバイスは簡単で、スポーツ以外の産業である一定期間働き、そこで圧倒的な成果を出している人材とお答えしています。僕はスポーツが大好きですし、人としても、ビジネスパーソンとして、スポーツの世界に育ててもらいました。一方で、日本のスポーツビジネスの世界に今もっとも足りないのは、各業界や産業のエースと呼ばれるビジネス人材がスポーツビジネスの世界に集まってこないことです。スポーツに関わる全ての企業のみなさまにお願いしたいのは、スポーツ好きではなく、ぜひ真のビジネスパーソンをスポーツビジネスの世界に引っ張ってきてもらいたいと思っています。スポーツビジネスの世界、また人材の世界に携わらせてもらいまして、この先、日本のスポーツ産業が発展していくためには、人材獲得は大きな課題だと感じています。

先程も申し上げましたように、僕はスポーツのおかげで、学生時代、そしてビジネの世界でも、育ててもらいました。そして、今はビズリーチで、世の中の社会課題を解決しながら、ビジネスの修行をさせてもらっています。ただのビジネスパーソンから、いつかは業界や産業の歴史を創れるようなビジネスプロフェッショナルへと成長し、必ずスポーツの世界へ恩返しするために戻ってくるつもりです。皆さんのようなスポーツを愛している方々の前だからこそ、この場でお約束します。『有言実行』が僕の合言葉ですので。本日はありがとうございました。


そのあまいマスクからは想像つかない行動力が印象に残る講演でした。スポーツ業界を目指す方々のみならず、多くの若者に勇気を与える内容だったのではないでしょうか。その情熱と統計学から修得した冷静な分析力を併せ持ち、ビジネスは課題解決につきると断言する南氏。早くスポーツ業界に戻ってきてほしいものです。氏がスポーツ業界に戻ってくる確率は?…100%。『有言実行』ですから。

南社長

南壮一郎(みなみ・そういちろう) プロフィール

1976年生まれ。米・タフツ大学を卒業後、モルガン・スタンレー証券に入社。2004年、楽天イーグルスの創業メンバーとなる。その後、株式会社ビズリーチを創業し、2009年4月、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」(http://bizreach.jp)を開設。人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRテック・ベンチャーとして、若手社員のためのレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」(http://careertrek.com)、AI技術を活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」(http://hrmos.co)、求人検索エンジン「スタンバイ」(http://jp.stanby.com)なども展開。従業員数は865名(2017年7月現在)。2014年には、世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出されるなど、日本を代表する若手経営者。